FC2ブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
第4章 春香


両手を掲け#12441;てA


「・・・う・・・うぅ・・・」

絶望の地下牢に、少女囚の悲痛なうめき声が響く。

広美がこの牢獄に閉じ込められて、一週間が経とうとしていた。
その間、毎日のように雪の中を拷問部屋まで連行され、
あの手この手の拷問を受け、虚脱したら再び地下牢に繋がれた。

地下牢の中では、辛い吊り手枷で常時拘束されたままであり、
広美は、食事の時間や睡眠時間、さらには排泄の時間であっても
冷たい鉄枷につま先立ちで吊るされたまま、過ごさねばならなかった。

そのため、少女の細い両手首に非情なほどに分厚い鉄枷がキリキリと食い込み
広美は凍りつくほどに冷たい鉄枷が手首を締め上げる痛みを味わっていた。
かかとが宙に浮く状態で吊るされ続けたため、何度も筋が痙攣し
引き延ばされた全身に、骨が外れそうな痛みが走っていた。

「・・・ぅぅ・・・くぅ・・。  
 ぅぅ・・・痛い・・・クサリが食い込んで痛いよ・・・。
 ・・・だれか・・・このクサリを外して・・・。
 ・・・せめて・・・ほんの少しでもいいから・・・緩めて・・・。」

20151103095521871323.jpg
(画像提供:CO様)


少女は、両手をグーに握り締め、
自分の手で涙を拭う事もできぬまま、非人道的な拘束を受け
手首を締め上げられる痛みに来る日も来る日も耐え続けていた。

自力では食事も排泄も行う事ができない状態にあるため、
黒装束を身につけた看守に、食事を口に運んでもらい
排泄の世話をしてもらうことになるのだが、
これは繊細な心を持った少女囚にとって堪え難い苦痛であった。
看守に排泄の世話をしてもらう度に、頬が涙で濡れたが
その涙をぬぐうことも、今の広美には叶わなかった。


また厳冬の牢の中、
生地の薄い半袖丸襟ブラウス1枚と、吊りスカート、白いソックスという
防寒効果の殆ど期待できない格好のまま、過ごす事を余儀なくされていた。

そのため、広美は鉄枷に吊るされて身動きもとれない状態のまま
氷点下の突き刺すような寒さに、半袖の夏服姿で耐え続けなければならなかった。

「ぅぅぅ・・・寒い・・・寒い・・・。ぅぅ・・・寒いよ・・・。」
 ・・・ぅぅ・・・こんな・・・こんなのって・・・。
 ・・・私が何をしたというの・・・。ぅぅ寒い・・・。」

せめて何か羽織るものを・・・。と何度も懇願したものの、
魔女にくれてやる服など無いと一蹴されてしまっていた。

肌の露出した四肢から鳥肌が消えることは無く、
常にカタカタと小刻みに震えており、
その震えは少女の両腕をキツく締め付ける鉄枷へと伝わり、
ジャラジャラという鎖の音が地下牢内に鳴り止むことは無かったのであった。
そして、鎖の音とともに聞こえてくるシクシクという少女の嗚咽・・・。

それでも、1週間という時間は、広美から希望の光を奪うには短く、
広美は、いつかは助けが来て解放されると信じていた。


-----


そんな折、地下牢の扉の鍵を開ける音がガチャガチャと鳴りだした。
再び拷問室へと連行されるのではないか、そんな不安に駆り立てられた広美は
顔に怯えをうかべ、鎖に吊るされた体を恐怖に震わせた。

ところが、そんな扉から現れたのは
あまりにも意外な人物であった。

「は・・春香ちゃん!?」

扉から現れたのは、祖末な食事の乗せられたトレイを持った、親友の春香であった。
春香は、鎖に繋がれた広美の姿を見て、目を見開いて驚いている様子であった。

広美は、再会の喜びの声をすぐさま上げることはできなかった。
何故ならば、広美と同じく半袖丸襟ブラウスを身につけた春香の両腕には
重たそうな鉄の枷が嵌められていたからであった。
それは、春香もこの牢獄の囚人であることを意味していた。
ただし、両腕を繋ぐ鎖は長く、ある程度は両手の自由が利くようであった。


「春香ちゃん!? その枷は一体どうしたの!? 大丈夫? 痛くは無い?」

広美は、鉄枷に吊るされた自らの境遇を棚にあげ、春香にいたわりの声をかける。
暫くは驚きのあまり立ち尽くしていた春香も、広美に声をかけられてついに口を開いた。

「・・広美ちゃん!? 広美ちゃんなの!?」

春香は、鎖に吊るされた広美の元にかけより、トレイを地面に置いて
広美の腰に抱きつき、頬にうっすらと涙を流しながら語りはじめた。

「広美ちゃん・・・会いたかったよぉ・・・
 私たち、一体どうしちゃったの? おうちに帰りたいよ・・」

春香は、枷の嵌った不自由な両手を広美の腰にまわして、
広美の胸に顔を沈め、しくしくと泣き始めた。
広美は、春香とは同級生であったが、
2人の間柄はまるで姉妹同然、いや、それ以上のものであった。

広美は、春香が落ち着きをとりもどすまで、
自分に抱きつき、胸元で泣き続ける春香の事をはげまし続けた。

「何が起こったのか分からない・・・
 確かなのは、私たちは悪い人たちに捕まっているのよ。
 だけど大丈夫。いつかきっと助けが来るよ・・!」

「ううう・・・広美ちゃん・・広美ちゃん・・」


-----


一刻ほど春香が泣き続けた時、満足に食事を与えられていない広美の腹が
「クークー」と音を立てた。
広美は春香の手前、できるだけ気丈に抑えようとしていたが、
もはや気力で我慢できる限界を超えているのであった。

広美の胸に顔を沈めていた春香は、はっと
看守によって自らに科せられた義務を思い出した。

「そうだ・・・広美ちゃん。 黒い服の男の人たちから、
 広美ちゃんの世話をするように言われたの。
 あの牢屋には、おまえと似たような女の子を繋いでいるから、世話をしろって・・」

そう言って、春香は自らが運んできたトレイに乗せられた
パンを手にとり、小さく一口サイズにちぎって、広美の口にあてがった。

「広美ちゃん・・今、ご飯を食べさせてあげるね。
 あーんして・・」

広美は、すこし恥ずかしそうにしながらも
口をあけて春香が供する食事をほおばった。

鉄枷に両手を吊るされたままの今の広美には、
自分の手で食事をすることは、かなわぬ夢だった。

粗末なパンではあったが、春香の手で一口一口供される食事には
暫く感じることのなかったぬくもりがあった。


-----


食事が一通り終わると、春香は
広美の半袖の両腕がびっしりと鳥肌で被われ、
カタカタと小刻みに震えている様子を、悲痛な表情で見つめた。
鉄枷に吊るされてバンザイの姿勢で固定された広美の細腕は
地下牢の過酷な冷気で青くなりかけていた。

春香はその様子を見て、

「広美ちゃん・・・とても寒そう・・・」

と言いだした。
そして何を思ったのか、突然、広美に抱きついてきたのであった。

厳冬の牢で、広美と同じ半袖丸襟ブラウス・吊りスカート姿の春香も
さぞかし寒い想いをしているに違い無かった。
しかし、両腕を吊るされたまま、小窓から舞い込む小雪を遮ることもできず
露出した顔や腕、両足への直撃を許すままの広美に比べれば
いくらかは良い状態であると言えた。

「は・・・春香ちゃん!?」

春香の突拍子の無い行動に、広美は少し驚いた様子であった。

広美に抱きついた春香は、今度は吊られた広美と同じようにバンザイの姿勢を取り、
つま先立ちになって、広美の体に重ね合わせるような姿勢を取った。
そして、鳥肌で覆われた太もも同士や、半袖の夏服から伸びた互いの両腕、
そして、互いのブラウスと吊りスカート同士を摩擦するようにこすり合わせ始めた。
2人の顔は最大限まで接近し、ついには頬と頬がこすり合った。

寒い地下牢では毛布も無く、壁に吊るされたままの広美を暖めるために
とっさに考えついた、春香なりの手法であった。
広美は、いやがる様子も見せず、ただただ春香のされるがままになっていた。
その表情は、心なしか紅潮しているように見えた。

「春香ちゃん・・・ありがとう。 私のためにここまでしてくれて・・・」

「いいの・・・ 私は広美ちゃんの苦痛を少しでも和らげてあげたいの。
 こんな所に閉じ込められて、鎖に繋がれるなんて・・・あまりに酷いよ・・・
 広美ちゃんが一体何をしたっていうの・・?」

その言葉を聞いた広美は、先ほどから気になって仕方が無かった
春香の待遇について聞いてみることにした。
自分と同じような酷い目に合っていない事を、心から願っていた。

「・・・春香ちゃんは、私みたいに鎖に繋がれたりはしてないの?
 酷い目に遭わされたりはしていない?」

「牢屋に閉じ込められているし、この手錠も嵌められたままなの・・
 だけど、吊るされたり、痛い想いはさせられていないよ。」

広美は、少なくとも自分よりは良さそうな春香の待遇に安堵した。
おそらく、自分のように三角木馬に乗せられたり、
鞭打たれたりもしていないのだろう。  本当に良かった・・・
だけど、何故私だけここまで辛い目に遭わされるのだろうか・・?

「広美ちゃん。もうすぐ夜だから、黒服の人がやってきて
 広美ちゃんの事を鎖から下ろしてくれるよ! 
 もう少しの辛抱だから・・頑張ってね」

どうやら春香は、広美の吊り手枷は、自分が世話をしている時間の前後に
一時的に繋がれているものだと考えているようだった。
優しい春香にとって、ずっと鉄枷に吊られたまま、地下牢に閉じ込められるという
過酷な処遇は、想像の範疇を超えたものなのであった。


実際の広美は、拷問の時間と、雪原を連行される時以外は、
常時、この辛い吊り手枷に高く吊るし上げられたままであった。

そのため、両の手首には分厚い鉄枷が厳しく食い込んでキリキリ痛み、
つま先立ちのままの両足は酷く痺れていた。
時おり、体重のかかる肩には抜けるような激痛が走った。
何よりも、酷寒の牢の中、夏の制服姿で身動きが取れないまま、
突き刺すような寒さに耐え続けなければならない事が辛かった。
広美の地下牢における待遇は、まさに終わりの無い拷問と言えた。

広美にとって、これまでの看守たちの言動から、
この待遇が悪くなることはあっても、良くなることだけは無いように思われた。

それでも、春香にはそのような過酷な現実を伝えたく無かった。
今でも十分に過酷な状態だが、これ以上、春香を悲しませたく無かった広美は
善意の嘘をついたのだった。

「うん・・! ありがと。 そろそろ両手の鎖を外して貰える時間だね。
 この地下牢のベンチ、鉄製だけど・・・
 慣れると何とか寝る事だってできるのよ。」

そう言って、これまでに一度も腰掛けたことのない
牢の中の粗末なベンチを眺めたのであった。

非情なことに、壁に高く吊るされた冷たく重い、この鉄枷こそが
広美に許された唯一の寝床であった。


-----

春香が独房から去った後、広美は眠りにつこうとしていた。
天井近くにある鉄格子の窓から差し込む月明かりのおかげで、
広美の独房はかろうじて漆黒の闇に沈むことはなかった。
ひどい疲労から今にも眠りに落ちそうになるが、
崩れ落ちそうになると同時に両手に枷の食い込む痛みが走り、
更に雪の吹き込む独房のあまりの寒さから
なかなか眠りに落ちることも許されない。


ふゆ

(画像提供:星屑ゆめこ様)


広美は上を仰いで、鉄格子ごしに見える月を眺めながら祈っていた。
助けて・・・神様たすけて・・・と。
やがて疲労と苦痛が限界に達した広美は
気を失うように眠りに落ち、
少女の可愛らしい寝音が暗い独房に響きはじめた。
スポンサーサイト
[PR]

FC2公認の男性用高額求人サイトが誕生!
稼ぎたい男子はここで仕事を探せ!
ブロマガ

月刊ブロマガ価格:¥ 500

紹介文:囚われた少女 - 魔女狩りに囚われた少女・広美の有料記事です。

ブロマガ記事一覧

購入したコンテンツは、期限なしに閲覧いただけます。

プロフィール

カルシファー

Author:カルシファー
作者へのご連絡はこちらまで
rokujuuni@gmail.com

free counters

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。